運命の日。

2016年夏に土地情報をいただき、1年半にわたって取り組んできましたRCラーメン構造7階建て44世帯の新築物件が、2/26に晴れて引き渡しとなりました。

長かったといえば長かったですが、7階建てラーメン構造となればこのくらいかかっておかしくないというのも、知識としては知っていましたので、特にトラブルもなく予定通りの進捗といえます。

今回、初めてお付き合いさせていただく建築会社さんでしたが、引き渡し前後の手続きは独特でした。もっとも、九州最大手の会社ですから、これが普通なんだと言われればそうかもしれません。

今まで私が経験した引き渡しは、当日に残金の決済も登記も全部済ませるやり方でした。しかし今回は、当日は「引き渡しましたよ」というサインをする程度で、実際には何も引き渡されておらず(法的には)、私は建築会社に対し残金の手形を振り出す。建築会社はそれをそのまま自社の金庫で保管し、金融機関から残金が振り込まれたら穴をあけて私に返却する。金融機関は、1,2週間後に登記関連がすべて終わったら残金を建築会社に振り込む。晴れて物件は法的にも私のものとなり、後日、登記関連の書類と穴の開いた手形が届く、という感じでした。

これもまた勉強。引き渡しひとつとっても、やり方は一通りではないということですね。

また、大変ありがたいことに、まさに引き渡し当日に、晴れて満室を迎えることができました。サブリースなので、満室でなくても収入は変わりませんが、やはり空きがあるのはイメージが悪いですし、適正家賃であったことの証拠にもなりますし、管理会社にとっては満室が続けばその分収入が増えるので、WIN-WINでもあります。

ちなみにこの物件、別記事にも書いたかもしれませんが、

・JR某駅5分、土地200坪弱(60/200)、土地約8500万、建物26000万、総事業費39000万

という感じの案件です。建築会社さんへのアプローチから、金融機関さんの空腹度合など、いろいろ奇跡的に歯車がかみ合ってうまくいきました。

引き渡し当日、晴天の中見上げた7階建ての威容は、「あきらめずに不動産に取り組んできて良かった」と心の底から思わせてくれました。不動産に興味を持って15年。途中、思うように買えない状況にあきらめそうになったことも何度もありました。手元にある不動産の本をすべて捨てて、記憶から不動産のことなんか抹殺すれば、こんな苦しい思いをせずに普通に手堅いサラリーマンとして生きていけるんじゃないか、なまじ不動産のことなんか知ってしまったばかりに・・・、そんな風に考えたことも何度かあります(特に1棟目を購入できる以前)。

私の場合、不動産でサラリーマンを卒業したい、という思いは大変に強かったので(小遣い稼ぎや副業、老後の備えなどとは一度も考えたことがありません)、「このままでは何年たっても規模を拡大なんてできず、夢を抱えたまま無残に年老いていくしかないのでは」という恐怖に支配されたこともありました。

あきらめなければ失敗ではない。

しかし、なぜかわかりませんが、「あきらめる」という方向には向かいませんでした。私はもともと決して我慢強いわけではありません。ただ、「あきらめたら試合終了だ」という、安西先生からパクって来たような強い気持ちが心のどこかにあり、あきらめなければやがて道が開けるはずという信念のようなものも少しずつ芽生えていました。

思えば、5億円前後の物件に買い付けを入れたことも1度や2度ではありません。サラリーマン年収がせいぜい600万円台で、物件も1個2個しか持っていなくて、そのほかの資産も特にない。そんな状況にもかかわらずです。

その時は、金融機関からは「びっくりしました」という電話がかかってきました。まるで、受け持ちの偏差値40の生徒が突然東大に入りたいと言い出して、3者面談で親を通じてあきらめさせるように冗談っぽく「ヒロシ~、東大なんて先生びっくりしたよ~。」という感じです(笑。

しかし、買えるわけない、とは思いませんでした。買いたい、とだけ思いました。実際に買いたいという意思表示をしてみて、金融機関がどういう反応をするだろうというのを見てみたいとも思いました(バカにされることも覚悟の上で・・・)。

その時の経験があるから、買うにはどうしたらいいかという「工夫する精神」にたどり着くわけです。「1億の物件で1000万くらいは持っていないと相手にされない。5億なら5000万か。そんなにあるわけないけど、どうやったらそれくらいあるのと同様に考えてもらうことができるだろう」というのを、普段からずっと考えていたからこそ、実際に4億の計画を前にしたときに自分や自分の背景の見せ方を即座に工夫することができたわけです。

もし、それまで1億くらいの売買しか経験しておらず、4憶5億は夢物語、自分にはまだ無理、などと考えていたとしたら、いざそういう物件が出たときに何をどうやったらアピールできるかあわてるばかりで、何の工夫もない自己紹介・経歴書・金融資産などをあわてて提出し、当たり前のように「今回は総合的に考えて・・・」と謝絶されるのが目に見えています。

以前何かの本で読みましたが、「上場するくらいの会社を作るにはどうしたらいいですか?」という問いに対し「起業した時点で、まるで上場会社のような組織・ルール・福利厚生などを最初から整備すること。それこそ名刺1枚、社内ペーパー1枚から。」みたいな回答を見たことがあります。うろ覚えですいません。

大きな物件を手に入れるには、大きな物件を手に入れる前提で日頃から準備をしておかないと、チャンスをつかむことはできない、という当たり前のことですが、評論家的に「そんなの当り前だ」とは言えても、実際に常日頃から自分のこととして準備できている人がどれだけいるでしょうか。

奇跡には、実は単に運が良かっただけでなく、様々な背景がその裏に隠れていて、よくよくひも解いてみると実は奇跡でもなんでもなく、周到な準備が実った「当たり前」の結果であった、ということがよくありますよね。

昨今、融資状況はますます厳しさを増しているようです(最近あまり新しい金融機関に持ち込んでいないので、他人の伝聞が多く恐縮ですが)。こんな時こそ、あきらめない強さや事前準備の重要性が問われると思います。

私も、ベースは小心者で、社交的でなく、面倒くさがりで、飽きっぽい性格です。気を抜くとすぐにダークサイドに引っ張られてしまいますので、今回の引き渡しを終えて改めて、ふんどしを締めなおそうと決意しました。