こういうのに是非チャレンジしたい

4月のお話②。

4月某日、2年前に一度問い合わせをしただけの小規模な不動産仲介業者さんから、物件紹介メールが届きました。一度もお取引はなく、こういったメールも過去に3回くらいしか送ってきていない、お付き合いの薄い業者さんです。

メールに5つほど物件情報がある中で、ほとんどはいつも通り検討に値しない物件ばかり(失礼)でしたが、唯一、非常に面白いチャレンジングな物件、というか「案件」がありました。

温浴施設 + 隣地の中古RCレジ、という案件です。温浴施設とは、いわゆるスーパー銭湯のようなものですね。合わせて金額的には6~7億というところ(ぼかしてます)。

物件資料には、温浴施設の簡単な現状の売り上げや利益と、購入後の事業計画書がついていました。しかしですよ、現在の詳細な経営指標・BS/PLのようなエビデンスではなく、なぜ新規の事業計画書がついているのだろう?というところにまず引っかかります。

現在の温浴施設をそのまま経営ごと引き継げるのではなく、単に施設の土地建物の価格なのか?そうだとしたら金額的には高すぎます。温浴施設とRCレジと合わせて、せいぜい4~5億というところ。

しかも、温浴施設の現在の看板・ブランド・施設内備品は引き継げるのか?社員はどうなのか?現経営会社が完全撤退するなら、ゼロからオペレーションを構築する必要があります。そもそも現経営会社が撤退するなら、大きな黒字が出ているという話は全くのでたらめの可能性もあります。

さらにさらに、そもそも土地建物の所有者と温浴施設の経営者は同一なのか別なのか、別であれば、経営者には今回施設を売却予定ということは伝わっているのか?伝わっていなければ、経営者は金のなる木を黙ってハイそうですかと明け渡すものだろうか?

考えればたくさんの懸念点が見つかります。しかし、もしこれら懸念点がクリアできるのであれば、非常に面白く、チャレンジングで、収益性も高く、既存店の引き継ぎという形ではありますが福岡の経済に貢献もでき、私のサラリーマン卒業なんて一発でできてしまうという、私にとって100点満点の案件となります。

さらにさらに、隣地の中古RCは現在満室ですが、うまくすれば旅館業の許可を得てホテル経営も可能になる可能性があります。立地も、インバウンド向けにかなりの好立地です(具体的には伏せます)。

そう考えると、「上がり」の案件と思えてきて、かなりテンションが上がりました。

考えても仕方ない。聞きに行こう。

メールの資料ではあまりにも情報が少なく、先に検討しようにも材料が少なすぎて検討もできません。最低限、ネットでわかるような点だけ下調べしたうえで、仲介さんにアポを取ってお話を聞きに行くことにしました。

登記簿およびネットで調べたところだと、土地建物の現所有者と、温浴施設の経営は別会社。ただし、全く赤の他人とは断言できないので、実質上つながっている可能性も考えておかねばなりません。

それを裏付ける証拠もあって、登記簿上、土地建物の以前の所有者の中に、温浴施設経営会社の系列企業の名前があったんです。つまり、もともと自社所有で温浴施設を経営していた会社が、何らかの理由で土地建物だけ別会社に売却し、賃貸する形で今も経営を続けているということです。

この状況を訪問前に把握していたので、頭の中は「何の理由で?」「所有者と経営者は仲がいいの?悪いの?」など、とにかく疑問符だらけ。仲介には先にメールで質問事項を共有したうえで、お邪魔させていただきました。

結論から言うと。

結論から先にお話ししますと、この「案件」、私には縁がなかったようで、おそらくお金持ちに買われていったようです。正確な結果は不明ですが、ほかに手を挙げたお金持ちが複数いたようで、少なくとも私は一次選考で脱落してしまったようで、最終的にどうなったかを教えてもらえる立場にさえなれませんでした。

仲介さんに訪問した際、判明した状況は以下のようなものでした。

①もともと、A社が温浴施設とRCレジの土地建物を所有していて、経営も行っていた。十分な利益が当時から出ていた。経営は今も大きな黒字。

②ところが、A社の他事業が苦しくなり、温浴施設の経営は今迄通り行わせてもらう条件で、B社に土地建物だけ売却した。

③今回、B社は現在の不動産市況であれば十分な売却益が見込めそうということで内々に売却活動を開始した。

④A社にたいしては、少しそうした状況を伝えているが、買い手がついて今後の買い手側の経営方法の希望なども分からないと、A社にもはっきりと売却予定の詳しいことは伝えられない。そのため、A社が売却に対してどう感じているかははっきりしない。もし買い手が自社ブランドで経営を刷新するということになれば、A社は金のなる木を手放し、施設運営会社も清算?ということにもなりかねず、納得するかは不明。あるいは、買い手がノウハウがなく、A社に運営を委託すると希望した場合、A社側がそれを受けるかも不明(十分な利益がA社にも出るならば、受けてくれる可能性高い)。

⑤少なくとも今回の件は、「利益が出ないのでA社が撤退を考えている→ビビったB社が今のうちに売却を急いでいる」という図式ではなく、「B社がまず売却を希望した。温浴施設の経営は本当に利益が出ている。そのため、現在賃貸しているA社がどう出るかは全く分からない」という状況である。

こういった状況を教えていただき、正式に私が購入候補の一人と認めていただけて、秘密保持契約を結べば、より詳しくB社から話を聞くこともできるし、状況次第ではA社の現在の経営状況を詳しく開示も受けられるかも、というお話でした。

私は買えると思っていたのか?

正直、案件全体で6~7億という金額ですし、買える気はしませんでした。金融機関のあてがあるわけでもなく、たとえばRCレジは普通の物件だから付き合いのある〇〇金融機関、温浴施設はこういうビジネスへの融資に積極的な▲▲金融機関、など、分けて融資を受けるのはどうか?とか、いくつか案を挙げてはみましたが、まったく勝算は無し。

でも、私のモットーは、「あきらめたらおしまい」「とりあえず動いたら何かしら次につながる」というものですから、私の現状を正直に仲介さんにはお伝えしたうえで、手を挙げさせていただけるなら手を挙げたい、という旨をお伝えしました。

仲介さんからは、「自分たちも満足いく情報がない中で仲介するのは気が引ける。もう少し情報を集めて、これはきちんとご紹介できる、となったら、正式に秘密保持契約を結びましょう」というお話をいただきましたが、その後、福岡の某都心部に結構な土地をお持ちの方が、その土地を一部売ってでもこの案件にトライしようとしているらしい、とか、いくつか他の検討されている方の情報が聞こえてきたのが最後となりました。

税引き前利益で月400万くらい残ってもおかしくない案件でしたし、私の現在の様々な目標をすべて同時に満たす奇跡的な事業でしたが、お前はまだそのステージじゃないよ、とたしなめられた感じです。

勝算のないところにぶつかっていったので、買える物件を逃した時のような悔しさはありませんが、今でも、「あ~、結局みんな買えずにリリースしねーかなー」と思うことがあります。

不動産投資、というより、まさに「事業・ビジネス」というべき案件でした。一瞬とはいえ、こういうものにチャレンジできて、非常に充実して幸せな4月でした。