不動産投資を始めにくい?

私くるまにあが初めて収益物件を購入できたのは、2009年のことでした。最初に興味を持ってから、7年くらいたっていました。それでも、年収などの条件さえ整えば、「一棟物」を購入して不動産投資・賃貸経営を開始することは、ある意味容易なことでした。

当時は、リーマンショック後で不動産の魅力・価値は地に落ちていました。2000年代前半からの不動産投資ブームは(今にして思えば全然ブームという規模ではなかったのですが)、2004,5年にプチバブルも発生させてはいたものの、実際に購入する・できるプレイヤーは今ほど多くなく、さらに資金の出し手となる金融機関も限られていました。

いや、金融機関は今と変わらずいろいろありましたが、地銀も信組も信金も、今ほどサラリーマンにとって身近ではなく、たとえばSMBC・スルガ・オリックスなどの、メジャーかつ融資基準がある程度投資家に認知されている金融機関だけが、新規参入するサラリーマン大家の味方のような状況でした。

私も、ご多分に漏れず、スルガで最初の融資を受けたわけですが、当時はスルガで購入しても十分キャッシュフローの出る物件が大都市でも普通にゴロゴロしていました。

もちろん、売り物件の金額は幅広いので、各個人の属性や自己資金に合わせて、買える物件の規模や質は違ってきますが、何より、「一棟物を購入して不動産賃貸業を新規開業することが容易だった」のは間違いありません。

また、2014年ごろ~2016年ごろまでの状況も、今度は「低金利」&「各金融機関がサラリーマンの新規参入や新設法人での融資に慣れてきた」という好条件が重なり、新規参入は非常に容易でした。

特に、地銀・信組・信金などは、スルガやオリックスのような住宅ローン形式で融資可否を決めるパッケージローンではなく、プロパーで融資してくれるのが普通です。

ビッグトゥモローとかでちょっと不動産に興味を持ち、セミナー講師から「法人がおすすめ!」と言われたから新設法人を作りました、というくらいの新規参入者に対しても、あるいは、年収的にスルガでは門前払いの20代の若者に対しても、驚くほどあっさりと融資してくれたのが2016年までです(ちょっと盛ってますが、まあ、イメージということで)。

そういった状況が一変、2017年に入ってのこの融資の引き締めで、一番難しい状況になっているのが「新規参入希望者」の方々だと思います。

一棟物が買いにくい。

いわゆる「5棟10室」の基準もあり、「不動産賃貸業開業 = 10室以上所有」というのが、まず一番最初に目指すところだと思います。青色申告ができるのもこの規模からですね(ほかに事業をしていないサラリーマンの場合)。

そして、事業実績を積みながら、ゆくゆくは大規模物件や新築も手掛けてみたい、全空き物件を埋めて高値で売却もしてみたい、などと、一番夢が膨らむところです。

となると、まずは10室以上の中古RCを購入するのが一番近道なんですが、これが非常に難しくなっていると感じます。

そういったRC物件の価格は、融資が厳しくなった今もあまり下がっていない。とくにスルガなどで融資がつくエリアはなおさら高止まり。

築古木造アパートは下がっているものもあるが、そういった物件は地銀・信組などが頼りだが、そこが特に新規参入者への融資を絞っている。

新築木造アパートも初心者には有効な手段だが、今までほぼ全額のローンが出ていたような、金融機関とのパイプが太いアパート業者さんでも、1割2割の自己資金を求められる(業者が求めているのではなく、金融機関側が)。

売買金額をちょっと上乗せして契約書を作ろうにも、そもそも現状の金額での利回りもギリギリすぎて、これ以上高額では土俵にすら乗らない。

・・・どうでしょう、新規参入を考えている人たちには、非常に苦しい状況ですよね。

築古戸建を現金で買うのはどうでしょうか?これはアリですが、事業的規模=5棟にたどり着くまでがちょっと大変ですね。現金で1戸購入し、それを共担(共同担保)にして2戸目、という感じで進んでいけば、時間はかかりますが着実ではあります。

ただし、いろんな意見があるでしょうが、初心者がこれをやるのは結構キツイと思いますね。というのも、築古戸建には多かれ少なかれリフォームが必須ですが、リフォームを業者に任せるとなると、熟練者でない限り、適正金額(=リフォームして貸し出して利益が出る金額)というのがわかりません。

業者さんの言い値から、1割も値引きしてもらえば「やった、値引きしてもらっちゃった」とうれしく思ってしまうのが初心者ですから、海千山千の業者さんにかなうわけがありません。

それなら、セルフリフォーム・DIYはどうでしょうか?これができれば、戸建を地道に買っていく作戦は成功する可能性が大きくアップします。

たとえば、基本的にセルフリフォーム・DIYというのは「面倒くさい」ことなので、「やりすぎてしまう」ということがありません。自然と、ほどほどのリフォームで済ませられますから、予算オーバーの心配は少ないと思います。

ただ、ただですよ、不動産投資に興味を持って参入しようとする人にとって、「幽霊が出そうな築古戸建を、土日に汗水たらしてDIYでリフォームし、月6万円で貸し出して、ゆっくりと規模を拡大していく」のって、そもそも「不動産投資」なんですかね?

それって「大工さん」じゃないでしょうか?別の言い方をすると、そういうことをしたくないから不動産投資に夢を見たんじゃないですかね?サラリーマンが、融資の力を使って一足飛びにビジネスオーナーになる。それが不動産投資の魅力だと思ったからこそ、新規参入したいのでは?

当然ながら、セルフリフォーム・DIYによる築古戸建投資は、それ自体まったく他の手法に劣るものではなく、この方法で成功されている方も大勢いらっしゃいます。

この手法が問題なのではなく、初心者がこの方法をとりたがるか?というと、まずとりたくないだろうということです。初心者の思い描く「不動産投資」とは一番遠くにある手法ということですね。

経験を積もうにも、入り口を通れない

こうやって考えてみると、「最初から大型物件は無理でも、小さく初めて経験を積んで、金融機関にも事業実績を評価してもらいながら、徐々に規模を拡大し、やがてはサラリーマンを卒業し、不動産からの収入で十分生活していけるレベルを経て、将来的には投資・資産系ビジネスで成功を収める」といったビジョンを描いていても、その入り口の門がググッと狭まっているが2017年秋の現状のようです。

門をくぐったからと言って、その先の順風満帆な賃貸業生活が待っているとは言えないんですが(笑、とはいえ門をくぐらないことには何も始まらず、この状況を前に「あの時買っておけばよかった!!」と地団太踏んでいる人も多いんじゃないでしょうか。

私も、こうなると分かっていれば、去年もっと「いつか融資は絶対閉まるから、買えるなら今買っておいたほうがいいよ」って勉強中の初心者たちにアドバイスしてあげればよかったな、と反省する次第です。

ホント、将来のことはわかりません。不動産価格がどうなるか、融資の門が開くか閉まるか、神のみぞ知るところです。

私が2009年に1棟目を購入した時、日本の不動産価格が上がるなんて、これっぽっちも想像していませんでした。人口減少下の日本では、地価は下がり続けるものと全員が悲観的で、私もインカムゲインのみを目的として参入しましたし、物件価格は償却期間が過ぎればゼロになると思ってシミュレーションしてました。

あの当時、福岡市内の築18年の中古RCで、利回り12%でも「もうちょっと欲しい」と思ってました。やっと買えた1棟目なのに、若干の妥協の産物でした。今からは本当にまったく想像もできない(笑

そんな状況ではありますが、それでも参入が全くできないわけではない。新築でも中古でも、一定の自己資金を出せば融資はおりますし、築古戸建も実行するのは大変ですが業界的には盛り上がってます。

参入してしまえば、事業経験も積めますし、少なくとも未経験者と経験者の間には天と地ほどの差があります。

現在は、昔に比べて大家さん同士のコミュニティもたくさんありますし、先輩からアドバイスをもらう機会も作ろうと思えばいくらでも作れます。ともに進む仲間ができたり、ある分野に長じた先輩のアドバイスがあれば、上記のような障壁もだいぶ低く感じることでしょう。

新規参入には冬の時代かもしれませんが、それでも不動産投資に夢を見たいというサラリーマンの気持ちは痛いほどよくわかるので、心から頑張ってほしいと思います。私もリアル世界ではどんどんアドバイスしていくつもりです。