かぼちゃの功罪。

4月のお話①。

くるまにあはここ数年、中古物件についてはほとんど見てませんでした。というか、不動産会社からのメールやHP情報などで嫌でも目に入ってはきますが、検討しようと思える物件はほぼ無い状況でした。

新築RCで7%の利回りが出せるなら、築24年の中古RCで7.3%とか、築14年の木造APで8.2%とか、まったく買う意味がありません。(新築RCでも中堅都市なら建売でも8%行くかもと思いますが、福岡の特殊性(成長期待先行、人口減少が遅い)から、家賃は取れないのに土地価格が上がる一方なので、東京都内並みの低利回りなのが福岡です)

そんなわけで、中古物件にはほとんど食指が動かなかったんですが、皆様ご存知の「かぼちゃ」の影響から、福岡でも中古物件の利回りが上がってきたなと感じたのが4月になってからでした。(利回り上がる=物件価格は下がる)

例えば、福岡市博多区内の地下鉄駅5分程度、築浅RCで金融機関によってはまだ35年の融資が組めるような物件が、表面利回り7.5%で普通にネットに上がってくるような感じです。

去年までは、博多区中心部でこの築年数のRCは、そもそも情報が回ってきませんでした。もし出たら、35年組めるので、おそらく6%台ですぐ売れたと思います。(福岡の、普通に売りに出ている建売新築RCは4%~6%)。

ちなみにこの7.5%の物件、複数の手が挙がったようですが、5月頭時点でだれも買えてません。経験の浅い投資家は融資謝絶。属性めちゃ高の経験者さんでも評価が85%くらいしか出ず、残り15%+諸費用7%を入れてまで買うのは…と二の足を踏む状況。

もちろん、そんな状況だからこそ売主さんもこの値段で出しているのだし、さらにこの値段でも売れないから値段交渉も応じるとおっしゃっているそうで、そりゃ値段も下がるよね、と肌でひしひしと感じたのが4月以降の現状でした。

(ちなみに私、この物件はお付き合いのある金融機関に持ち込みまして、物件価格の94%ぐらいなら頑張れる、という回答をもらいましたが、諸々の状況があり、リリースしました。もちろん正式な本部審査前なので、本当に94%出たかはわかりません)

今後、中古はお買得になるんだろうか?

この2018年の融資の状況ですが、2000年以降で一番厳しいというか、それまでとの落差が一番大きいんじゃないでしょうか?

2001年、ドットコムバブル崩壊時はまだ不動産投資市場は今ほど熟成しておらず、地主やプロしかいませんでしたから除外するとして、その後2005年くらいまで小泉政権下で不動産価格の底入れから東京を中心とした不動産プチバブルがあり、それがはじけ、そこから2008年までアメリカの好景気をベースにした景気拡大期が続きましたがリーマンでそれもはじけました。

このように景気のマイナス局面は何度かありましたし、SMBCのアパートローンほぼ撤退、スルガの融資対象物件・顧客の選別(木造・年収500万 → 鉄骨以上・700万~1000万)、などの融資条件の悪化などもありました。そのたびに収益不動産価格は悪影響を受けてきたわけですが、それは結局「融資がなかなかつかなくなった、ついても金額が伸びなくなった」ためですね。

過去の「好景気期」でもその後の「融資厳しい期」でも、どちらにしても全国の地銀が誰も彼もフルやオーバーで融資を出すような状況ではなく、スルガが物件価格の90%融資(10%+諸費用7%は手出し。一応。建前上は。)してくれるのがサラリーマンの味方と思われていた時代でした。厳しくなった、と言われても、そもそもそれ以前も厳しかったので、厳しさの実感はありませんでしたね。

むしろ、SMBCやスルガの融資基準の変更のほうが、全国の物件価格には影響を与えていたように思います。

それが今回、2018年の「融資氷河期」においては、猫も杓子もピタッとストップしてしまったような印象です。それまで、全国の地銀がジャブジャブ出していたものが、ここまで手のひらを返したように出さなくなる、というのは、たぶんみんな初めての経験じゃないでしょうか?

もちろん、すでに取引のある金融機関とか、厳しい中でも頑張ってくれる金融機関はちゃんとありますが、それでも頭金や金融資産の条件が厳しくなってますよね。融資期間についても、耐用年数を超える融資が厳しくなったりというのもあります。

さらに、過去においては、「収益不動産価格が下がり、利回りが上がる → 金利4.5%でも回るのでスルガで買える」、という好循環?がありましたが、今回はそのスルガが震源地なので、それが期待できません。スルガで買える=その価格が底値になるんですが、スルガで買えない以上、まさに「底が見えない」状況。

とはいえ、市場に出回っている物件価格を見ていると、一部先程の例のように値下がりを体感できる物件もありますが、思ったほどにはまだ下がりきってはいません。

少々自己資金を入れてでも購入できるキャッシュリッチな人はいつの時代にもいますし、売る必要がない人は損してまで売ろうとしませんし、今安値で売りに出ている物件は、「安くなってもいいから売りたい」物件だけということになります。

徐々に時間がたつにつれ、「今後値段が持ち直すとは思えないから損切する」とか「融資期間1年で引っ張ってる物件が売れずに1年たちそう」とか、「売らざるを得ない」事情での売り物件も増えてくると思われ、そうするといよいよ不動産価格の下落を意識するようになるのかもしれません。

ただし

仮に物件価格が下落したとして、それをあなたが買えるかどうかは別問題ですね。もちろん私もそうです。値段が高いから買えないと言ってる人は多いですが、じゃあ値段が下がったら買えるのかと。

ほとんどの人は買えないですよね。

ほとんどの人が買えないからこそ値段が下がるわけで。

恐らく今後、中古物件については、買える人でも「頭金+諸費用で物件価格の15%」くらいは入れないと買えなくなり、そもそも金融機関から買える人じゃないとみなされたら「頭金最低2割、諸費用まで入れて3割入れろ」という感じで実質お断りをされる風になるかもですね。

でもそれって、2012年途中まで当たり前のことでした。よく金融機関の人が「厳しくなったといわれるけど、当行の融資基準は何も変わってない」なんて言いますが、それは嘘じゃないんですよね。

私がそれまで10年くらいでたった1棟しか変えず、これじゃだめだと2015年に本気で取り組み始めた時、あまりに楽に融資がつくのに驚きました。総投資額9000万弱の新築APを購入する際、某大手地銀の担当者いわく「1億未満ですし、全額融資で問題ありません。あ、端数の50万だけお願いします」と言われたのは忘れられません。

1棟目の中古RCなんか、わずか4400万くらいでしたが、購入するには必死で700万かき集めてやっと買えた状況でしたので、あまりの融資の付きやすさにいったい何が起きているのか?という感じでした。

そう考えると、確かに「融資が厳しくなった」のではなく「昔に戻っただけ。これが普通」なのかもしれないですね。

ちなみに私が中古に手を出すとしたら、福岡市内、地下鉄・西鉄駅から7分以内で30~35年の融資がつく中古RCの利回りが8.5~9%になった時、でしょうか(金利が現在と同水準の場合)。

貯金は得意ですか?

いずれにせよ、手元資金の重要性が今まで以上に高まっているわけで、ありきたりですが買い場に備えて資金をキープしておくことがとにかく重要なわけですが、みなさん貯金はお得意ですか?

よく、まじめ系不動産投資家の方々は、「最初のころは必至でお金を貯めた。お金を使わずにためられるかどうかが、不動産で成功するかどうかのカギだ」みたいなことをおっしゃいますが、どんだけまじめだよ、とツッコミたくなること、ありますよね?

いや、私も我ながら相当まじめ君ですが、全然貯金なんか得意じゃないし、通帳の残高が増えるのをニヤニヤ眺める趣味もないし、貯金って簡単じゃないなと思います。

まじめ投資家のご高説を聞くにつけ、「そもそも貯金が得意ならこんなに苦労しねえよ!」と毒づきたくなる今日この頃です。